ブタゴリラについて

ブタゴリラについて

ブタゴリラ、という生命体がいる。

いや、この書き方は色々と誤解を招くな。

ブタゴリラ、というあだ名がついたマンガ(アニメ)のキャラクターがいる。『キテレツ大百科』の登場人物、熊田薫の通称である。こうなってしまうと、ブタだかゴリラだかクマだかわからなくなるが、とりあえず先に進む。

ブタゴリラ。何度聞いても強烈なあだ名である。第一、「ブタ」にしても「ゴリラ」にしても、面と向かって言われると、あまりホメられた感じがしない。誰かに「ブタ!」、「ゴリラ!」と言われたら、たぶんあなたは怒るだろう。怒るまでいかなくても、あまり嬉しくはないはずだ。

考えてみると「イヌ!」もあまり気分は良くないし、「ハイエナ!」というのも、ちょっとイメージが悪い。「ネコ!」も、表現の仕方によってはあまり良い印象ではないかもしれない。しかし、例えば「トナカイ!」、「ヒツジ!」と言われても、さほど悪い気がしないから、やはり「ブタ」や「ゴリラ」にはネガティブな印象がある、と言っても良さそうだ。

試しに「ブタ」を国語辞典で調べてみると、「1.イノシシを改良した家畜。吻 (ふん) が上方にしゃくれ、耳が垂れ、短い尾が巻いているものが多い。(後略)」とある他に「2.太った人・食いしんぼうなどをののしっていう語」(出典:デジタル大辞泉)というのも出てくる。

ゴリラの語句説明にはそういう内容はなかったが、イメージとしては「凶暴」、「乱暴」、「ウホウホ言ってる」みたいな感じではなかろうか、と思う。

ハテ。本当にそうなのだろうか。

■ブタにまつわるエトセトラ
ブタは先述の国語辞典の解説にもあった通り、イノシシを家畜として飼い始め、品種改良して生まれた。だから、という訳ではないのかもしれないが、飼いやすい動物ではあるらしい。

雑食で何でも食べ、1回に3〜5頭の子供を産む。そして成長が早いので、肉資源としては優れているとされる。基本的には温厚だが、繁殖期のオスは気が荒くなると。なるほど。そりゃ仕方あるまい。

ブタまめ知識で有名なものと言えば、高級食材であるトリュフを探すのはブタの仕事、ということ。何でも、トリュフの香りはブタのフェロモンと同じ物質が含まれるそうで、ブタはトリュフを探し当てられるのだそうな。異性が絡まなくても、実際に鼻が利くことは間違いないらしく、1980年代の西ドイツでは麻薬捜査犬ならぬ麻薬捜査豚が活躍していた時期があったらしい。

なぜか(恐らくは養豚場の飼育環境が悪かったせい)「不潔」と思われがちなブタだが、むしろ食事や寝る場所と排泄する場所は別々、そして決まった場所に排泄をする習性があるのだという。

また、鼻でペダルを押すと飲み水が出るような仕組みも、比較的すぐに使いこなせるようになるという。

つまりブタは、温厚で何でも美味しく食べ、子だくさんで鼻が効き、排泄も決まったところでする、頭の良い動物、ということになる。うむ。素晴らしい。

■実は繊細で、おとなしいゴリラ
ゴリラはゴリラで、非常におとなしく、争いごとを好まない動物であるという。警戒心が強く、神経質な一面もあるらしい。見かけによらず、ナイーブなのだ。人間世界でもよくある話だ。イカツく見える人が実はとても優しかったり、気弱だったりする。

ゴリラの群れは、オス1頭とメス3〜5頭、それに子供たちという構成が多い。成熟したオスは、背中の毛が銀色になることから「シルバーバック」と呼ばれることもある。だいたい、11〜13歳前後になるとシルバーバック化してきて、育った群れを離れて自分で群れを作るようになる。ただ、群れにとどまるものや、しばらく一人で暮らすものもいるらしい。

ゴリラが特徴的なのは、子育てを父親が中心になって行うこと。ゴリラの子どもは離乳すると、父親が面倒を見る。つまり、ゴリラは人間たちが「イクメン」などと大騒ぎする前から、パパさんが子どもたちを育ててきたわけだ。

ブタもゴリラも温厚でもの静か、知能が高い。ブタは何でも美味しく食べ、鼻が利く。ゴリラは父親が子育てをし、命がけで群れを守るという、素晴らしい習性を持っていることが分かった。してみると、「ブタゴリラ」という一見ヒドいあだ名も、「あれ?実はホメてる?」という具合に受け取れてしまうから不思議だ。人や動物を勝手なイメージでとらえてはいけない、という良い例かもしれない。・・・違うか。

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